JR東日本の場合

エントリーシートはなくて、A4一枚にとにかく好きなことを書きたいように書いて、自分を表現しなさい、という格好だったと思う。
そのころ、大好きなバイクレーサーが死んだので、彼の写真を入れてお悔やみ欄みたいなところを作り、「就活中だからといって、好きな人が死んだことの哀しみを忘れる人間にはなりたくない」みたいなことを書いた。
あとは、普通に鉄オタです、と暴露。好きな車は国鉄急行型、列車旅の好きなところは・・・なんて書いて、最後に埋めた。
「新幹線作るのはいいけど、平行在来線3セク化するのは反対。金に成らないから3セク化、ではなくて、金になるように考えるのが企業だろ」と。
それを提出したのが会社説明会。バイト先で許可もらって、予約開始時間ぴったりにバイト中に仕事のパソコンから説明会予約を入れた。
人事だか誰だか忘れたけど「JR東日本は1600万人を毎日輸送している。1人から10円多く取ったら、1日で1億6千万円の増収だ」とほざいたので、そのあとの小論文で「バカをほざくな。同じ1億6千万円の増収を考えるなら、1人10円多く取るんじゃなくて、1人10円コストを下げろ」とこき下ろした。
その流れで「鉄道マニアから酷評されているE231系列も、コスト削減という面から見たら優等生だ。ただ、鉄道の魅力という面ではどうか?平行在来線3セク化しなくても、在来線に何らかの魅力があれば人は鉄道に乗る。オレはJR東日本で、鉄道の魅力を高めるための仕事をしたい」と結んだ。


説明会をこんなにこき下ろした論文なのに気に入られたのか、そのあと2回、東京に呼び出されてリクルート面接。どっちも東京駅八重洲口だったかと。
どちらも極めて友好的な面接で、1人は「書類書いててください。その間にちょっとメシ食っていいですか?」とオレの前でサンドイッチにぱくついた。
とにかく「鉄オタ」って所に興味があったみたいで。
「あ、普通のオタみたいに、『旧車の廃止反対』とか『保存汁!』とかやりませんから。言われるとおりに旧車保存してったら、固定資産税バカになりませんよねw」なんて話したら、向こうも素直に「そうですよね。JRが鉄道マニア取らないのはそういうのが恐いからなんですよね〜」などと暴露発言。
「鉄道ファンでJR東日本を受ける人はこれまでいくらでもいたけど、ここまで冷徹にコスト面を考えた人はいないんじゃないか?学生離れしてる。普通の鉄道好き就活生は、最終的に『旧車も保存汁!そのためにこうすればコスト捻出できる』という方向に持っていくから」などと誉められた記憶がある。


その勢いで、新宿駅近くのJR東日本本社で面接。
当日は朝9時集合だったので、7時前の新幹線に乗る。しかも当日は、午後に他の会社訪問を控えていて、焦りまくり。
交通費を請求するのに、「地元駅←→新宿」の領収書が必要だったんだけど、午後に会社訪問するのが途中駅なので、普通に買ったら「地元→新宿」「新宿→某駅」「某駅→地元」の領収になってしまう。まさかそんな領収書、就活中の企業に出せない。金額の問題もさることながら、他の用事のついでかよ!?とばれるのもイヤだった。
というわけで、裏技使って「地元駅←→新宿」の領収書と、途中駅経由のきっぷを購入。
ヒント:乗車変更、払い戻し+追加料金、仲のいい店員さん


何とか8時半過ぎに新宿の本社ビルに到着して、また書類を書いて。目の前の女の子が「特技:無線、資格:アマチュア無線」などと書いているので、声かけて「一緒に頑張ろうね」と談笑。
面接の時間になると若い社員さんが面接室まで連れて行ってくれた。ドアの前で、「ネクタイは大丈夫ですか?ポケットのフラップ、両方出して揃えてくださいね」と、身だしなみについてアドバイスをくれた。
で、面接は今までのリクルーターとは打って変わってオジサンばかり。今までと同じ主張を繰り返しても暖簾に腕押し、手ごたえなし。若い人ならともかく、ある程度役職持ってるオジサン相手に会社批判やったら、そりゃ落ちるわ。


面接が終わったら慌ててビルを飛び出して、新幹線で次の会社へ。このとき乗った新幹線が100系。オレが100系に乗ったのはこれが最後でした。


この日の午後に訪問した会社は、またクオリティヒクスでどうしようもない。
履歴書とか持ってったら「まだ面接日程とか決まってないから、今日はお持ち帰りください。こちらから再度連絡いたします」とか言ってたのに、7月になって電話かけてきて、「選考始まってますが、どうして連絡くれないのですか?」だって。その頃には今の会社の選考が進んでたので、綺麗さっぱりお断りした。学校推薦の会社だったのに。。。