富士そばの「天ぷらそば」を真面目に考える

今日の夕食は、富士そばで天ぷらそば。


普通の蕎麦屋で天ぷらそばを注文すると、大抵はエビ天が載ってくる。お値段は、安くても850円。普通は1000円を超える。
しかし、富士そばに代表される立ち食いそばの店では、天ぷらとはかき揚げのことを指す。そして、天ぷらそばのお値段は、高くても400円を越えることはない。


富士そばの天ぷら、ことかき揚げは、人参・ごぼう・玉ねぎ。春菊とおぼしき菜っ葉も見え隠れするけど、春菊は「春菊天」として別でメインを張っているので、あえて脇役扱いとする。


このかき揚げ、じゃなくって天ぷらを熱々のかけ蕎麦に載せれば、かけ蕎麦が天ぷらそばに早変わり。
なのだけど、富士そばはちょっと違う。


普通の立ち食いそば屋は、丼に麺をあけ、汁をいれてから天ぷらを載せ、ネギやワカメなんかを隅に沿える。
この作り方だと、東海林さだおが「ワニの丸かじり」というエッセイに記したように、「始めはサクサクの天ぷらと、澄んだ汁のかけ蕎麦」から「油の浮いたコッテリの汁と、汁を吸ってモロモロに崩れかけたふわふわの天ぷら」、そして「たぬき蕎麦」と、一杯で3つおいしい蕎麦が楽しめる。


ところが富士そば
丼に麺をあけ、かき揚げを先に載せてから汁を並々とかけるのだ。もちろん天ぷらにも。
するとかき揚げは、客のところに届く前にたっぷりと汁を吸う。客が天ぷらを箸でつまんだ瞬間に、天ぷらは哀れかな、モロモロに崩れてしまう。
一杯で2つしか楽しめない。


これはいただけない。富士そばの皆様。天ぷらは後載せで頼みます。


まぁでも旨いからいいんだけどね。


ところで、富士そばでホントに一番旨いのは、そばよりカツ丼だったりする。