本当のアキバ

アキバで探していた部品は、トランジスタという電子部品。
これがまた難癖のある部品だった。ちょっとした特殊な用途向けの形式だったのだ。
トランジスタはどこでもあるけれど、この形式は互換品も含めて、全く見つからなかった。
いつも電子部品を買うマルツには在庫なし。千石通商にも取り扱い無し。頼みの綱、秋月電子にも…ない。店員さんに「半導体専門のお店に行ってみたら」と言われる始末。
ラジオデパートの1階のお店をまわるも、どこも取り扱い無し。総武線ガード下、ラジオセンターのいろんなお店を回ってもない。
結局、どこにも見つからなかった。


ところで、今日こうして15軒ほど回った電子部品のお店が、本当のアキバなんだと思う。
狭い狭い店の中は、黒山の人だかりでごった返す。
型番を暗記せず、メモを持ち歩く僕のような初心者が店員に「○○型のトランジスタ、取り扱いありますか?」と聞いても「ないよ」「取り扱いない」の無愛想な、敬語でもない一言で返される。
常連は店の前で店員と談笑。割り込める隙もない。


そして、ラジオセンターではある店で「ありますか?」と聞いたら「斜め向かいの店」と返された。
最近出来たようなパソコンショップなんかでは、自分の店にないときに他の店を紹介することはまずありえない。


勉強してない初心者に冷たい。でも、そんな初心者にもちょっとだけ差し伸べられる手。
他の街、他の業種の店では経験したことのない接客。これが「電気街」としてのアキバなんだなぁ、としみじみ感じてしまった。