キヲクの片隅

ちょうど一年前。
僕はあの町にいた。
大きく深呼吸をすると、ほんのりと海の香りがした。
あの町に行ったのはまだ2回目だったけれど、もう地図なしでもある程度は歩けるようになっていた…と思う。


今年も、あの町に行くつもりだった。
でも、それは叶わなかった。


もっとたくさんの時間、君と触れ合っていたかった。
もっとたくさんの時間、君と触れ合える時間を作っておけばよかった。


僕は少しだけ、強くなったよ。もう弱音は吐かないし、泣き言も言わないと思う。
これからも友達として、ずっとずっと付き合っていけたらいいと心の底から思っているし、それは出来ないことじゃない、とも思っている。
そして、そうやっていくだけの心構えも、ようやく僕の中に出来上がったと感じてる。




一年前の夏、
君と交わした、たった数秒の最高の幸せを、
僕は一生忘れない。
この恋をしている間、僕がとっても幸せだったことも、
一生忘れない。