コーヒー

僕は、コーヒーが好きではない。
どちらかといえば、紅茶のほうが好きだ。


学生のころは、そんなにコーヒーを飲むことはなかった。
眠気覚ましに、ということもなくはなかったけど、眠いときはたいがい、図書館や他の学部の建物に行って、廊下のソファーで寝てた。
それ以前に、寝たいだけ寝てから、学校に来てたから、大学にいて眠くなることはなかったように思う。


社会人になって、始業時間が8時という会社に入社した。
それと同時に、コーヒーをかなり飲むようになった。会議の前には1杯飲んでおかないと、必ず寝てしまう。


最近まではカップ式のベンダーに70円を入れ、コーヒーを買っていた。しかし、ほかの先輩や上司に倣い、コーヒーも自分のカップにインスタントのを作るようになった。
でも、うまく作れなかった。濃いコーヒーが苦手なのもあるけど、出来るのは、「コーヒー風味のお湯」だった。


そんな僕でも、最近はちゃんとコーヒーを作れるようになった。コーヒー風味のお湯ではなくて、コーヒー。会議で寝ることも少なくなった(?)。
ちゃんとした社会人に近づいたのかもしれないけれど、ちょっとだけ切ない。


今、僕の手元にあるのは、コーヒー風味のお湯。今日は作るのに失敗したらしい。
でも、なんだか、ちょっとだけほっとしている僕がいる。