5年ぶり

Music Voxは楽器店なので、管楽器も置いてある。
何の気なしにとりあえずトランペットのマウスピースを持っていった。
で、1回目のライブが終わってから管楽器フロアに行ってみたら、19800円で赤いラッカーのポケットトランペットが置いてある。
オモチャにはちょうどいいかな、とお試し程度に吹かせてもらうことにした。
ラッパ吹くのは5年ぶり。本当に。前の前の彼女に振られて以来、一度も吹いてなかった。


で、防音室に入れてもらう。
ポケットトランペットなんて初めて吹くので、まず持ち方から怪しいのだけど、とりあえず適当に持つ。
とりあえず五線の真ん中のF。うん、まぁまぁ。チューニングのB。うん、まぁまぁ。唇も5年ぶりの割りに、まぁまぁ。


ところが、Fより下に下がろうとすると、下がれない。鳴らせない。唇がめちゃくちゃに硬くなってしまっていて、低音が出なくなってしまっているのだ。
そして、ピストンを押した音は、みんな息の抵抗感がありすぎて、マトモに音にならなかった。
結局、マトモに出た音はピストン開放の音だけ、五線の真ん中のFから上のFまでの1オクターブくらい。それより上も苦し紛れの、まるで首絞められたニワトリの悲鳴みたいな音しか出せなかった。


結局、ピストン押したときの息の抵抗が変わりすぎるので買うのはやめた。
でも、店員さんの一言。
「防音室から音漏れてましたけど、かなりしっかり響いてましたよ。本当に5年ぶりですか?って感じです。でもマウスピースの色*1見たら、確かに5年ぶりなんだな、って納得しましたけどwww現役のときはどれだけ音響かせてたんですか?って感じです」
めちゃくちゃに嬉しかった。ひさしぶりにラッパを吹きたい気分。


今年の正月、高校時代の吹奏楽部で一緒だった連中と新年会をやったとき、深夜のファミレスで、僕が辞めた社会人ジャズバンドで今も現役で吹いているトロンボーンとサックス兼クラリネット
「fukaが高校のときに吹いた『I remenber Clifford』は最高に良かった。今の社会人よりもずっと良かった。だからもう一度楽器をやれ。オマエの才能は腐らせてはいけない」
と言ってくれた言葉も嬉しかったけれど。


僕の才能、といっても、本来腐ってもそんなに惜しくない程度の才能なんだけど、今は完璧腐ってるw
でも、もう一度磨いたら、誰かが喜んでくれるくらいの音楽は出来るんだろうか。
誰かが喜んでくれる音楽を、僕のラッパで鳴らすことが出来るのだろうか。
それくらいの才能を、僕は持っているのだろうか。
店員さんの言葉と、同級生の言葉を信じてもいいのだろうか。

*1:写真参照