なんというかね

地元に帰った時には、職場への土産として、お茶っ葉を一袋買って、給湯スペースに置いている。
ヘタに食べ物持っていくと好き嫌いがあるし、長持ちしないのに余ってしまったり。
お茶はそんなに好き嫌いもなく、冷蔵庫に入れておけばそれなりに持つ。ついでにこういうのは残らない。


だからといって、結構気を配って選定している。
普通に高級なお茶っ葉を買っても、電気ポットの100℃近いお湯でお茶を入れるのだから、まったく無駄になる。
お茶屋さんのアドバイスにしたがって、逆に高い温度で入れたほうがおいしい、茎茶とかそんなに高くないものをたくさん買って持っていくようにしている。


この給湯スペースには、もうひとつお茶っ葉が置いてある。部長が持ってきた、玉露配合、抹茶パウダー配合のお茶。
ま、お茶っ葉を入れ替える人が、好みでどちらかを入れるのだ。


昨日の夕方。給湯スペース横のコピー機でコピーをとっていると。
課長がお茶っ葉を入れ替えようとしていた。
そこに通りかかった部長が「あ、入れ替えですか」と一言。
課長「えぇ、でもどちら入れようかな、と」
部長「んならこっち入れればいいですよ、おいしいですから(と自分の持ってきたお茶を差し出す)」
課長「そうですよね、こっちの方が濃くておいしいですよね」


僕が持ってきたお茶をまずいとこき下ろそうが、それは人の好みだから構わない。でも、それを持ってきた人の目の前で言うことはないだろう。


まぁ、僕は玉露を100℃で入れる趣味もなければ、そうやって淹れた、沼のような色をした、ただ濃くて苦いだけのお茶を美味い美味いと飲む趣味もない。
薄いきれいな若芽色の、うっすらと甘みを感じるお茶をおいしいと感じるのが、僕の好みであって、僕を育てた静岡県人の両親の好みだった、というだけだ。
そして、そんな濃くて苦いお茶っ葉であっても、課長や部長みたいにお茶っ葉をゴミ箱に捨てることもなく、好みとは関係なしにそれを淹れて淡々と飲むだけ。
所詮、職場のお茶なんてそんな程度のものだから。


ただ。そんな職場に、静岡産のお茶をわざわざ買って土産として持っていくことは、二度とない。
おいしいおいしいとすごく喜んでくれる、警備員さんにその分多めに持っていってあげることにしよう。