ちょうちょ

階段の踊り場の窓を何回もつっつくように、ちょうちょが飛んでいた。
外に出たいのかな、と思って、窓を開けてあげた。
そしたら、ちょうちょは僕の顔にぐっと近寄ってから、ひょっときびすを返すように窓の外にひらひらと飛び立っていった。
ちょうちょが思いっきり顔に近づいたのでのけぞってしまい、なんとなく腹も立ったけど、もしかしたらあのちょうちょはお礼を言いに近づいてきたのかな。
いや、お礼のキスをしに、僕の顔に近づいたのかな。
そんなことを考えたら、怒りも収まって、むしろ和んだ。