映画の感想などなど

ネタバレたっぷり、fukaの妄想もっとたっぷりなのでよろしく。


みかりん演じる宇田めぐみは、前半は全くストーリーに絡んでこない。セリフすらほとんどない。最後までストーリーに絡んでこない新入社員役の二人の方がセリフが多いくらい。
その理由として考えられるのは、「夏樹の元バンド仲間である慎吾との交際が、夏樹にバレるのを恐れて社内では静かにしていた」ということ。多分、GAKUに移る頃には付き合いはじめていたのではないかと。
その根拠としては、前半で宇田がもっとも重要な役割を演じるシーン。豚汁を田村に渡すシーンで、渡辺から豚汁を渡される際に、非常に萎縮した感じに見えるから。田村にも、怖々と小声で呼びかけている。


その豚汁のシーン。宇田が田村の右隣に立ち、怖々と田村に豚汁を渡そうとするが、田村は気づかない。正面に立ち、改めて差し出す宇田。気付いて笑顔で受け取る田村。その一連の流れを怪訝な顔で見つめる渡辺。
このシーン。結末を知らないで見たときには「渡辺は田村が好きで、田村に対して小声で話す宇田を見た渡辺が『宇田も田村が好き?』と訝るシーン」と思っていた。事実、渡辺は田村を慕っている旨のセリフが前半に多く見られる。
しかし、最後の結末で、田村が「近い将来に聴力を失う。右耳の聴力はすでにほとんどない」という告白をする。
豚汁のシーンは、田村の聴力に異常があることの、一番早い時点での伏線であり、とても重要なシーンである。


VAN MUSICで田村を慕っていたメンバーが皆、田村が設立したGAKUに移籍したとき、田村は仕事らしい仕事をせずに、みんなで神社に行ったり、チャンバラごっこをしたり、(シーンはないが)缶けりをしたりして遊ぶ。
田村は何をしたいのか、何を考えているのか。
田村は、聴力を失うまえに自分の目と耳で、幼少期に遊んだ遊びをもう一度やって、そこからインスピレーションを得て、REAL SONGを書き上げるのである。聴力があるあの時だからこそ、田村は遊んでおかなければならなかったのだ。


ラストシーン。ホールの椅子に腰掛け、目を閉じている田村に、夏樹が借りていたお守りを返そうと、手に握らせるシーン。夏樹が田村を後ろから抱きしめると、田村の手はだらんと垂れ下がる。
中嶋昇監督は、「死んだ、とか生きている、ではなく、『田村は役割を終えた』ことを象徴するシーンだ」と舞台挨拶で解説された。これは素晴らしい解釈だと思う。
ただし、個人的には、田村は死んではいない、と思われる。手が垂れ下がっても、お守りは手から落ちない。お守りは、音楽を田村に教え込んだ母親が田村に渡したものであり、それが手から離れないということは、田村は今後も何らかの形で音楽に関わることになるのではないか?と予想される。


宇田がGAKUのみんなを裏切り、VAN MUSICの吉川に楽譜と歌詞を売り渡すのだが、みかりんも舞台挨拶で言っているように、それだけの裏切り行為をしていながら、GAKUの解散が発表されるまで宇田はGAKUから追い出されずに、むしろ仲間の一人として迎え入れられている。これがどんなに幸せなことだろう。。。


(2007年9月 BBSより転載)