一万円分のプライド

先週の今ごろは、奈良にいた。
国際会議(国際学会のことを、通常「国際会議」ということが多い)に出て、世界各国からの講演者のプレゼンを聞いていた。
何から何まで英語。日本人技術者と個人的に話すとき以外は、常に英語だった。


そんな出張の折、同行した上司が電子手帳を持ってきて、わからないらしい単語を調べ、僕に教えてくれていた。
僕は、「辞書=紙媒体」の信者だから、電子辞書は基本的に嫌いである。それ以前に、そこそこの単語が理解できてたので、「へぇ〜」と流して聞いていた。


しかし、こういう出張の時に一台あると便利だし、国語辞典、広辞苑、英語、パソコン関係…とありとあらゆる辞書が入っているのは便利だろう。
小さいスペースに、アレもコレもみんな詰まってます、っていう幕ノ内状態というか十徳ナイフみたいな、そういうツールが大好きなのである。


帰ってきて早速、電子手帳の購入を検討し始めた。最低限でも辞書機能、そして今の仕事に必須である理科系(物理、化学あたり)の辞書が入ってるもの、もしくは追加で入れられるもの。そしてそんなに高くないもの…
しかし、そこで悩み始めてしまった。


上司は、カシオの電子辞書を使っている。そして、プライドの高い人間なので、僕がカシオを買ったら「やっぱカシオだよなぁ、真似したの?」というに違いない。
一方僕は、その上司が余り得意ではない。そして、上司以上にプライドの高い人間である。


だから、カシオの電子辞書は避けたい。そして、カシオより高級なメーカーの辞書を、また最低限でもカシオの、上司より上のグレードの辞書を買いたい。
しかし、いざ調べてみると、高校生用などと書かれた安い辞書でも、それなりに使える機能が入ってる。物理や化学の小事典もそれなりに使える。2万5千円強で買えてしまう。当然、上司のより下級グレードのものである。
逆に、高級な電子辞書にはそのような専門辞書が少ない。ソフトの買い足しをしなければならないので、さらにコストが嵩む。約5万円になるかもしれない。。。


値段を取ってプライドを捨てるか、プライドを取って金を無駄使いするか。。。
さらに数日は頭を悩ませることになるのは間違いない。