居場所

(「タイムスリップ」の続き)


とにかく、1年半前とは、変わってないようで変わっていた。
毎週のように通っていたパソコン専門の量販店も、半分が家電コーナーに落ちぶれていた。
変わってないのは、歩き慣れた道を歩いただけで意識が学生時代に戻ってしまうような自分だけなんだろう。


寂しかった。


バスに乗るまえに、大学向かいにある、これまた行きつけだった時計屋に入ってみた。


また、タイムスリップしたようだ。
ショウウィンドウに並ぶ時計は、あの頃のままだった。
店のオヤジさんもおかみさんも、僕を覚えてくれていた。


時計・カメラ専門の量販店も撤退した中で、客の信頼を得ているこの時計屋は、時計があまり売れなくても、確かな修理の腕で生き残っていた。
そして、僕を温かく迎えてくれた。