夢うつつ
あれはなんだったのだろう?
夢だったのか、幻だったのか。
己のシンボルをさらけ出し、人気の絶頂に立ったあの夜。
何もかもが、あっという間に消えていった。
何も無くなったときに差し伸べられた一本の手。
前後不覚の僕は、その手を振り払った。
あの手は、僕を助けようとした手か、あるいは崩れかけた僕を
さらに奈落に突き落とすための手だったのか。
騙されてもよかった。
誘いに乗っていればよかったかもしれない。
現実世界に戻り、僕はあの一夜の経験が夢なのか幻なのか、
それとも現実だったのか、未だによくわからないでいる。