愕然

JR東海で引退後に保管されていた、EF58 122号機や、EF64 2号機が解体されてしまったらしい。
ほかにも、美濃太田や浜松工場に保管されている車両のうち、名古屋に建設予定の博物館に入れない車両は全て解体処分することになるらしい。


確かにJRも営利企業
しかし、営利企業は須らく営利のためだけに存在するわけではない。


古い鉄道車両というものは、文化遺産・工業的遺産になりうるもの。
この日本では、とかく工業遺産というものが軽視されがちになる。


この日本でまだ優遇されている文化遺産においても、古い日用品などは、日用品だからという理由で文化遺産から外れていき、気がついたら保存されているものが何もなかった、などという情けない結果に陥ることがよくある。
工業遺産などはもっと情けない。一般人の日常生活に全く関係ないところで稼動しているものが多いために、一般人からは見向きもされず、文化的にも貴重なものが次々と鉄くずになっていく。


日本は工業によって成り立ってきた国。
日本の工業の進歩の証を、鉄くずにしてどうする。


営利になるから、と、工業遺産を鉄くずにして中国あたりに一山いくらで売り払うことが、営利企業の求める営利なのか。


鉄道車両における、固定資産税の償却期間は電車で13年、機関車で18年。
車両にどれだけの固定資産税が掛かっているか分からないが、こんな古い機関車に今時、高額な固定資産税が残っているとも思えない。
リニアを自己資産で作ろうという金持ち企業が、そのリニア建設に掛かる金額のゴミチリみたいな金額の固定資産税をケチって、工業遺産を廃棄することなど、文化的に許されるような気がしない。


文化遺産、工業遺産。世界遺産もそうだし、ゴッホの絵なんかもそうなんだけど。


壊し、捨てることはいつでも出来る。
だが、壊したものを元どおりに復元することは出来ない。
たとえレプリカを作っても、レプリカはレプリカでしかない。


もっと、文化遺産を大事にする国、企業であって欲しいと思うのは僕だけだろうか。