つれづれ

田母神・前空幕長の論文問題。
どうなんだろうねぇ。


「職務規程」や「職場の思想」の前に制限されるものは、「個人の思想の自由」ではなく、「個人の思想の自由の実現」であるはず。


したがって、田母神氏が何を考えていたとしても(極端な話、たとえそれが国益に反していても)、考えるのは自由だし、職名を離れた場所で発言するのは自由ではないのか。


今回の論文問題の場合、「航空幕僚長田母神俊雄」として論文を発表していたら、問題であろう。
また、「一個人・田母神俊雄」であったとしても、自衛隊の職務規程(というか、就業規則的なもの)の中に「個人名であろうと職名であろうと、論文発表は上長の許可を得てから」という規程があったとしたら、問題であろう。
その点が最も重要な論点であるはず。
(少なくとも、「政府見解と異なる思想を持ってはいけない」とか「政府見解と異なる意見を発表してはいけない」などという規程はさすがに憲法違反が明確なので、存在はしていないだろうと思われるが)


ところが、それが一切ぼかされたまま、「前幕僚長が政府見解と異なる論文を出したから問題だ」となってしまっている。
例えば、田母神氏が個人として論文を発表していたとしても、懸賞論文の主催者が勝手に職名を発表している、ということも考えられる。
この場合は、主催者側の個人情報に対する意識を疑うほうが先決のような気もする。


どこが問題なのかを明確にしないままに前幕僚長を攻め立てるのは、単なる言論弾圧であるような気がしてならない。


それにしても、惜しい論文。
きちんと、学術論文のように、事実に関して裏づけの取れるものは一つ一つ、注釈番号を振って、出典を付けていけば、書いた人が書いた人だけに、論文そのものの信憑性はゆるぎないものになったのに。